ほんのひとさじ

ゆるゆる過ごす日々と投資の記録

「お金は寝かせて増やしなさい」を読んだ

先日のムサコ会で、購入者特典でボツ原稿が読めると聞いて「読まねば!」と固く決意した、水瀬ケンイチさん初の単著「お金は寝かせて増やしなさい」を読んだ。

 

これまで知りたかったが誰も触れていないことが、金融関係者ではなく、金融機関と利害関係のない、個人投資家の目線で、これでもかと丁寧にかみくだいて書かれていたのが良かった。

 

私個人としてポイントをあげると、下記の3つ。

・投資するにあたって確保する「生活防衛資金」の目的

・実際の値動きはどうか(投資元本と資産額)

・出口戦略(いざ投資を終わらせるときはどうするか)

 

特に、耳の痛い話である「デメリット」や「リスク部分」に文字数を費やしているのが非常に良心的。

『うまい話には裏がある』とよく言われるが、この本では "旨味" より "苦味"(苦労) が語られている。だからこそ実体験との裏付けでもある。

生活防衛資金」の目的はこれまでなんとなく理解していたつもりだったが、この本を読んで素直に納得できた。

投資を続けていれば必ずやってくる "下落局面" で「安心して眠るため」。

それは下落したときには "損切り" や "損益確定" で売却してしまう人が多いが、それはリスクを取り過ぎているからで、「お金を寝かせて待つ」ためにも必要な措置。

『歴史は繰り返す』ことは投資においても歴史が証明しており、リターンは必ず回復するし、むしろその下落時に安値で買付し積み立てることでその後の回復(上昇)の恩恵を受けることができる。

水瀬さんは、「リーマンショックのように株価が大幅に下落した不況時でも、本を出版し儲けようとしている人がいることが経済活動は継続しているしいつか上昇に転じる根拠で経済の発展を信じられる」と書いていた。(文字通りではなく、意訳)

 

ネット証券が発展し、投資信託の購入時手数料無料が多く、それが当たり前に近い状態となり、信託報酬はどんどん安くなって投資家にとってのメリットが増えたうえ、投資信託の買付金額も100円から購入可能でより多くの人から資金を集められる仕組ができ、株式をはじめとした経済の発展に寄与しつつ、その投資により恩恵を受けられることも、経済活動はよりよい方向へ進んでいる証左と感じた。

 

都度、最新の話題や情報がアップデートされているブログ記事(梅屋敷商店街のランダム・ウォーカー)もありがたいが、章ごとに纏められた一冊の書籍で15年ものインデックス投資経験をもとに綴られる赤裸々で生々しい物語は、これから投資を始めようとしているかまだ投資をはじめて間もない投資初心者にはおあつらえの指南書といえる。

また、それだけではなく、インデックス投資経験の中堅層にも、今一度自身の投資の原点を振り返ったり、 始めるのは簡単だが難しい「売らずに我慢」の原動力としたり、あらためてリスク許容度を見直したりする際の拠り所となるのではないだろうか。