ほんのひとさじ

ゆるゆる過ごす日々と投資の記録

操作手順の案内はレシピ(料理)の説明に似ている

あなたは長い説明書きをまず最後まで読んでから手順を実施するだろうか?
-否、しない。(との答えだと想定している)

多くの人は、書かれている順番どおり、その都度手順を行うだろう。

レシピの概要は下記の通り。
 1.材料、調理器具一覧
 2.下準備
 3.作り方

調理器具は記載がないことも多い。慣れれば使う器具はだいたい察しがつくが、慣れるまでは手順を事前に読んで必要な器具を出しておく必要があるだろう。

また、下準備も書いてあればまだ親切で、中には、「3.作り方」に紛れているものもある。
レシピを見ながら順に作っていって、途中で「それ、先に言ってよ!」と思わず叫んでしまうものが、それだ。

 「みじん切りにしておいた玉ネギ1コを・・」
 「あらかじめ冷蔵庫から出して室温に戻しておいたバターを・・」
 「○○と□□と△△を混ぜてなじませておいたものを・・」

特に、時間がかかる手順が途中でさらりと書かれているものは、大きな時間のロスとなる。
気が短い人ならちゃぶ台ならぬ調理台をひっくり返したい衝動にかられることだろう。

レシピを書いて世に発表する人は大抵、それなりの料理経験を積んでいる。
だから、はじめて、またはあまり経験のない人に向けての配慮は、多くの場合されていない。

必要にかられてすることであれば、まずはじめにできれば暗記しておくほど手順をよく読み、何が何でもやるしかないが、そんなことはしなくて良い苦労だ。

やらなくて良い苦労などやらない方がいいに決まっている。

そこで、タイトルの「操作手順の案内」である。

ここで書くのは、主にシステムの利用方法となるが、そのシステムに精通している分だけ、初心者への配慮が大幅に欠ける傾向にある。レシピと同じだ。
「自分は知っているから」「こんな簡単なことだから」など理由はいろいろあれど、自分とは違う相手を気遣うことはほとんどない。
自分もかつては初心者でそのシステムのことをほとんど知らなかったにも関わらず、だ。
そして、暗黙の了解や端折られた内容におそらく悪態をついていたことであろう。

「苦労して乗り越えたのだからあなたも苦労しろ」?
初心者だったときに先輩に言われたという人もあろう。
あなたはそれが当たり前だと思っただろうか。
「もう少しヒントをくれたり、優しく教えてくれたっていいじゃないか」とは思わなかっただろうか。

中には、自分自身で突き詰めて考えてゆく中で習得できるものもある。
しかし、無駄な回り道をしなくて済むならその方がいい。

確かに、初心者にもわかるように手順を書くのは面倒だ。
当たり前と思っていることまで触れておく必要があるし、その "当たり前" がどの位置にあるかもできるだけ正確に見積もったうえで、作業しなくてはならない。

「わからなければ都度聞いてもらえばいい」との考えもある。
では聞くが、あなたはそれほど 暇 だろうか。あるいは、相手から質問されるときに、あなたはいついかなるときにも相手が望むとおり自分の時間を割いて回答できるだろうか。
ほとんどの人はできないだろう。その間、「相手を待たせるのは当然」と思うのは傲慢だ。
自分ができるのにやらなかったことを、「自分は先輩だから偉い」などの思い込みで相手の時間を奪っているのだから。

相手やその事象にもよるが、何度も質問されて答えるのは双方にとって時間の浪費である。
ひょっとしたら、簡素な説明だけで理解できる人もいるかもしれない。その人にとっては詳細な説明は無駄になることもある。
けれど、相手がどの程度理解しているかがわからない場合は、はじめからほとんど知らなくても理解できるように書けば良いのだ。
双方にとって無駄がなくなる可能性が高い。

それから、注意書きや忌避事項だが、レシピの「下準備」と同じことが言える。
手順を踏んでから注意書きを読んで青ざめたことや「先に言ってくれ!」と思ったことはないだろうか。
特に取り返しのつかない(回復不能)ケースであれば、手順よりもまず先に知らせるべきことを知らせて、注意を促すことが重要だ。
取り返しのつかない事態となったとき、手順を案内するあなたと相手の関係によっては「責任を取ってくれ」と言われることもあろう。
もしそうなったときは、時間の損失もさることながら、あなたの疲労も招くことはほぼ確実だ。
好きこのんで疲れたい人などいないだろう。

だからこそ、操作手順の案内は順に読んでそのとおり望むことが実現でき、理解できる文章にすることが肝要なのだ。
レシピについても同様に、そうして書かれていれば「この人のレシピはわかりやすい」「思ったより簡単にできた」と読者(調理する人)に思ってもらえることが確実ではないだろうか。
もしかしたら、「料理なんて・・」とやる前から諦めていた人が始めるきっかけになる可能性もある。

それは言い過ぎかもしれないが、つまり言いたいのは、こういうことだ。

『もっとわかりやすく書いて相手への配慮をしませんか。そうすればあなたにも大いにメリットがありますよ』